私は謝らなくてはなりません。。
この本のタイトル、表紙、本当は作者名も全体を通して
「オトナ女子向けエッセイっぽさを感じる」などという戯言を言い、自分は対象外であると勝手に距離を置いておりました。
でもちょっと視野を広げたいと思い手に取ってみたところ、凄く面白かったのです!
いや本当、ふざけたこと言ってごめんなさい。。
今回読んだのは、『本日は、お日柄もよく/原田マハ(徳間文庫)』です。
あらすじ
この本は、お気楽な生活をしていたOLの主人公”二宮こと葉”。
彼女は幼馴染の結婚式で、スピーチライターである”久遠久美”と出会います。
久遠久美のスピーチに感動したこと葉。
今までスピーチライターという仕事すら知らなかった主人公が、この出会いによってスピーチの真髄を学び魅せられ、やがて弟子入りします。
そこで任された仕事はなんと選挙演説のスピーチライター!
ハードル高過ぎますね(笑)
そんなこんなで、選挙演説の仕事を通してこと葉はスピーチライターとして、人間として成長していく。
というお話です。
感想
良くも悪くも「読みやすい」小説
本書は風景描写が無い、いわゆる「読みやすい」小説でした。
読みやすさを重視するか、読みやすくはないけど表現の世界に浸れるような文体を良しとするかは人によってまちまちでしょうが、私はこういうのも好きです。
「ストーリーで勝負するぞ!」っていう気概があって良いですよね!
面白かったもん!
実際に本を手にとっていただければ分かると思いますが、結構ボリュームがあります。
これでくどい描写を入れてしまうと、きっと多くの人が飽きちゃったと思います。
私が手にした文庫本では余白が全然ないぐらいびっしり書かれていて、ちょっとびっくりです。
それでもすらすら読めてしまうのは、ひとえに著者さんの表現の上手さなんでしょうね!
言葉の力を確認できるストーリー
ストーリーについては、言葉の持つ力というものについて、ポジティブな気持ちにさせられる小説でした。
スピーチライターというお仕事小説なだけあって、感動的なスピーチになるような言葉が沢山使われています。
私は「文字や文章は記号に過ぎない」という価値観なんですが、声に出して(声に限らずですが、伝える事によって)”言葉”にする事で、そこに価値が生まれるんだなと感じさせられました。
登場人物が魅力的
この作品は登場人物が魅力的です。
主人公に、師匠に、ライバルに、ライバルの師匠。それから幼馴染。
あと居眠りを誘うスピーチをしていた幼馴染の上司!
それぞれ個性があって好きです。
著者さんの作風なのか、どのキャラクターも基本的にいい人です。
なので安心して読み進められました。
ちなみに私の個人的なお気に入りはライバルの師匠です!
その人が出てくるシーンでは、人と話したいという気持ちが湧いてきました。
まとめ
日本の組織や人物は架空なんですが、筆者の与党批判っぽい思想がちらほら感じられて、そこにはちょっとひっかかりました。
社会派小説でもなければ読書中に現実の政治なんて考えたくないです。。
でも、政治自体を深く掘り下げる作品ではないんだし、恋愛要素もあり気軽に読めてほっこりしたい人には良いと思います!
読みやすい本をお探しの方、趣味として読書を始めたい方におすすめです!