『この世にたやすい仕事はない | 津村記久子』感想

『この世にたやすい仕事はない | 津村記久子』感想

こんにちは。

前回更新から3週間も経ってしまいました。

天気が崩れるのと同時に体調を崩し、GWはなんだかんだ忙しく過ごしていたためか、読書があまり進んでおりませんでした。

結局2冊だけ読みました。

今回紹介する本はそのうちの1冊、『この世にたやすい仕事はない | 津村記久子』です!

 

この本は帯に『津村記久子版ガリバー旅行記』と書かれているんです。

これは伊坂幸太郎さんが記したものなんですが、正にその通り!というような内容でした。

あと感想を書き終えて振り返るとすごく真面目な内容に見えちゃったからあらかじめ言うけど、すごく楽しんで読めますよ!


 

概要

あらすじ

ストレスで前職を去った女性が、5つの職場を経験する話

リクルータの相談員さんに「一日スキンケア用品のコラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」なんて言葉を発するくらいには、前職で燃え尽きてしまった主人公。

主人公は36歳の女性。とても有能だけどきつい仕事に燃え尽きてしまった為に仕事を辞め、お金がなくなったことをきっかけにとりあえず仕事を探すことに。

最初に紹介された仕事は小説家の生活を監視する「みはりのしごと

それぞれの職場で成果を出すも、なんやかんやあって職場を転々とします。

各章のタイトルにもなっていますが、こんな仕事をしていきます。

「みはりのしごと」

「バスのアナウンスのしごと」

「おかきの袋のしごと」

「路地を訪ねるしごと」

「大きな森の小屋での簡単なしごと」

バリエーション豊かですね!主人公はこれらの仕事に就き、そこで様々な体験をします。

それぞれの仕事経験を通し仕事に疲れた心を再起させると共に自分の居場所となるぴったりな仕事を探す、まさに「お仕事のガリバー旅行記」なのです!

著者さんについて

著者の津村記久子さんは1978年生まれ。

2005年に「マンイーター」(後に「君は永遠にそいつらより若い」に改題します)で太宰治賞を受賞し華々しくデビューした方です。

その後2009年には「ポトスライムの舟」で芥川賞を取ったり、そのほかにも様々な賞を沢山受賞されている凄い作家さん。

ファンの方も多い事かと思います!

今回紹介している「この世にたやすい仕事はない」は2016年に芸術選奨新人賞に選ばれています。

現実にありそうな、なさそうな。そんな仕事と体験をする話。

最初の仕事の「かんしのしごと」なんかは(おそらく)無いとは思いますが、なんか「絶対にない!」と否定しきれないようなものばかりなんですよね。

それでもってその仕事で起こる体験もありそうな、無さそうな。なんとも言えない絶妙な感じです。

何が絶妙かと言うと、仕事という限りなくリアルなものと、旅行記のようなちょっとファンタジックな感覚の両方が味わえるところです。

感想

どんな仕事だって簡単じゃないよね!

この世にたやすい仕事はない」本当それですよね。

昨今は「ライフワークバランス」なんて言葉がよく使われて、「やりがい」とか「つらくない事」とかが重視されています。

でも、現実は簡単で楽な仕事なんてありません。ブラックな仕事だってある。

どんな仕事であっても生計を立てるくらいの収入を得ようとしたら、楽なんてできませんよね。

 

そんなジレンマを抱えている私たちにとって、仕事への向き合い方ってなんだろう。それをこの本は伝えてくれていると私は感じました。

そんなお勉強みたいな事を楽しく読ませてくれる。すごい。

 

この本の最後の文章が、もうそれです。

「だいたい何をしていたって、何が起こるかなんてわからないってことについては、短い期間に五つも仕事を転々としてよくわかった。
ただ祈り、全力を尽くすだけだ。どうかうまくいきますように。」

 

一生懸命仕事をしていても、うまくいかない事なんて沢山ありますよね。一生懸命だからこそつらいなんて事もあるかと思います。

でもそれって、「何が起こるかわからない事」の一種なんです。自分を責めたって仕方がない。

ただ一生懸命頑張る事が仕事というものへの唯一の向き合い方であり、あとは万事うまくいくよう願うのみ。それが働く事なんですね。

 

自分の中の働く事の考え方を見つめ直す良い機会になりました!

まぁこの感想を書いてるのが仕事中なんて口が裂けても言えないけどね

おまけ

主人公はどの仕事でも、毎日の楽しみとなるような食べ物を見つけています。

まんじゅうとか、おかきとか、にゅうめんとか。

それが身近だけど最近食べてないものばかり出てくるので、食べたい欲に駆られてしまう罪深い本でもあるんです!

菓子テロには要注意とだけ言っておきますよ…!!笑

今日も最後までありがとうございました。