感想『冷たい密室と博士たち|森博嗣』

感想『冷たい密室と博士たち|森博嗣』

「理系の人向けの作家って誰?」

そう聞かれたらなんて答えますか?

私は迷わず「森博嗣さん!」と答えます。

文系脳の人には伝わりにくい理系的価値観(もちろん個人差は多分にあります)が存分に出ている作品というのはあまり見かけないものです。

今回読んだ本は、『冷たい密室と博士たち|森博嗣』です!

 

概要

S&Mシリーズ2作品目

この作品は森博嗣さんが書いた作品群の中のS&Mと呼ばれるシリーズの一種で、その第2作品目になります。

S&M」というのはメインキャラクターの犀川創平西之園萌絵のファーストネームをとったものです。

犀川は大学の准教授。ヘビースモーカーで大学の無駄な会議などが大嫌い。合理主義の「理系っぽい」キャラクタ。

一方萌絵は犀川の教え子で理系ではありますが、派手めな見た目だったりと「理系っぽくない」キャラクタです。でも頭は物凄く良い。

犀川と萌絵は先生と生徒の関係ではありますが、萌絵は犀川の恩師の娘であり、幼い頃からの付き合いです。そして萌絵は犀川に特別な感情を持っています。

そんな二人が謎を解いていくお話なのです!

 

ちなみに第1作品目は有名な『すべてがFになる』で、アニメ化もしています。

また、S&Mシリーズは2014年に実写化もされており、綾野剛さん&武井咲さん主演となっていました。
(タイトルは『すべてがFになる』です。)

森博嗣作品、S&Mシリーズ作品の人気の高さがうかがえますね。

ちなみに、出版順は違っていますが、執筆順としては本作が最初になります。

あらすじ

この作品の事件は犀川助教授とその教え子(?)の萌絵が、犀川先生の同僚である喜多助教授のいる研究施設を訪ねた時に起こります。

研究施設での実験が終わった後に、2人の刺殺体が見つかります。

事件があった部屋から出入りできる場所は3つ。しかしうち2つの扉には鍵がかかっており、残る1つのシャッターは故障している。

つまり密室殺人です。この密室の環境で犯人はどのように事件を起こし、どのようにして密室を作ったのか。

そして謎を追っていく内に新たな被害者も…

 

そんなお話です!

読者もトリックを推理しながら読み進めていくことができる、密室ミステリーです。

感想

とにかくロジカル!

この作品はもちろんミステリーです。

ともなれば謎を解く為のヒントは作品で必ず出てきます。ミステリーの条件は作品と読者がフェアである事ですから。

謎の解き方は至ってシンプル。とにかく論理的に考える事。

この作品ではヒントはしっかり散りばめられていて、裏切られた感じがしません。

 

たまにあるんですよね、アリバイ崩しただけで犯人が急に自白したり、謎解きのタイミングで新しい設定を持ち込む作品…

私はそういうのはあまり好みではありません。

その点本作はしっかりと手段と犯人を推理する要素が揃っているので、読み終わった時にすっきりできるミステリーでした!

研究施設の図面や、各登場人物の情報がしっかり展開されているあたり、作者さんから試されている感じがする。笑

動機が淡白という意見もあったけど…

他の読者さんたちの感想を見ていて、「犯人の動機が今ひとつ」という意見がややありました。

確かに犯人の動機もドラマチックなものにしている作品はあるでしょう。そういう作品では、最後に犯人が独白するシーンがあるんですよね。

でもこの作品のストーリー上、それはできないのです。

なぜなら、「犯人はお前だ!」ってやってないから。

そいういうストーリーなのに、犯人の心の内まで根掘り葉掘り聞いたりしますか?

さらに言うと、犀川先生も萌絵も、探偵ではないです。そして刑事でもない。

そんな作品でしっかりと動機が伝えられたら、かえって不自然じゃないですか?

 

私は淡白に、大まかな動機程度しか知らないぐらいがちょうど良いんじゃないかなと思います。

シリーズならではの魅力もしっかりあった!

シリーズならではの魅力。それは主要キャラクター達の変化です。

S&Mシリーズでは、犀川先生と萌絵の関係ですよね!

萌絵からしたら犀川は憧れの人。

犀川先生にとって萌絵は亡き恩師の娘という関係です。

そんな二人のこれからについても楽しみなところです!

先述の通り最初に執筆作品された作品である為、まだキャラクター性が強固ではありません。

だからこそこれからがすごく楽しみ、ですよね!

 

私は『すべF』からの2作品を読んで、森博嗣作品が好きだという確信を得ました!

これからも読んで感想を書いていくので、みなさんもぜひ読んでみてください!